面積分割問題03 [面積分割問題]

今回紹介する面積分割問題は、「面積指定平行線分割問題」とでも表現すべきでしょうか。
土地を分筆する場合において、その土地の一辺と平行な線で分筆し、しかも分筆後の一方の土地の面積が何㎡と指定されているという超難解な問題です。今まで、本試験はおろか答練ですら出たことが有りません。しかし、年々問題が難解になっていく中、このような問題が出ないとは限りませんので、対策として紹介しておきます。なおこれに類する問題が、記憶では平成18年の包○学院の答練に出たことが有ります、但し、その時は分筆前の土地の左右二辺が平行線(分割線を入れると三辺が平行)という特殊な条件下であり、しかも解き方の導入がこまごまと小問題として出してありました。受験生にとって、この「解き方の導入のための式の穴埋め問題」というのが、時間がない中非常に厄介な問題であります。
このような問題を答練で出題される場合には、解き方が難しいので、長々と導入部が有ると予想されますが、マツヨシの紹介する方法なら、その問題の作成者の意図する方法が判らなくても、とりあえず答えに行き着くことができそうです。それで、最終の答えに行き着いてから、「解き方の導入のための式の穴埋め問題」を埋めて行けば良いのではないでしょうか。また、ここで紹介する解法は、分筆前の土地の形状に、特殊な条件(例えば平行線や直角の部分が有るなど)の基での解法ではなく、一般の四角形で計算出来るのが特徴です。
【例題1】
次のABCDAで囲まれた宅地を、一部売却のため、BCと並行な直線で二筆の土地に分筆することとした。分割する直線とABとの交点をE、分割する直線とCDとの交点をFとする。E及びFの座標値と、そのときの分筆された(イ)・(ロ)の実測面積を求めよ。また、面積の表記は、登記申請する場合の表示の桁数までとする。ただし下の(条件)をすべて満たすこと。
さらに、フリーハンドで略図を描き、筆界点の名称を入れ、全ての辺長を記入せよ。(図は正確でなくてよい。問題文を読んだ上で略図を描き上げた時点から、計算して答えを紙に書くまでの時間を計ってみましょう。なお、解き方も読まずに自分で解ける人はまずいませんので、出来なくても心配しないでください。)
(条件)
①分筆した、北西側を(イ)、南東側を(ロ)とする。
②地目については一切変更はない。
③(ロ)の面積を119㎡とすることで買主と合意した。
④E・Fの座標値は、四捨五入して下2桁まで求めること。
⑤四捨五入したE・Fの各座標値を使って面積を計算すること。
⑥(イ)・(ロ)の実測面積の表記は、登記申請する場合の表示の桁数までとする。
⑦(イ)・(ロ)の面積については、条件より±0.03㎡までの誤差があっても正解とする。
表1
* X座標 Y座標
A -412.94 -183.20
B -412.68 -169.32
C -430.51 -175.31
D -422.31 -189.25
図1
* A E B
*
* (イ) (ロ)
* D
*
* F
*
* C
*
《解答》
この問題は、計算が出来ないと地積測量図が描けないという恐ろしい問題です。しかし、とりあえず、分割線以外は描けますので、分割線抜きの地積測量図を、計算の前に描きます。分割線の存在しそうなところに適当にE・Fの文字を入れておきます。後で、分割線が引けた時、E・Fの文字が離れていたら、矢印で引っ張るだけです。全く計算が出来なくて試験が終了しそうな時も、適当にBCと平行な線を入れて形を作りましょう。
また、(ロ)は台形なのですから、面積は0.5(上底+下底)×高さとなりますので、とりあえず平行線を一本鉛筆で引いてみて、その時の台形の高さとEFの長さを地積測量図上で定規で測って、面積を計算してみます。それが条件より小さかったら大きめに作成するし、逆なら逆にするだけで、判らなくても地積測量図だけは何とか出来ないこともないでしょう。
A・B・C・Dの座標値をa・b・c・dの各メモリーに入れます。
ABの延長線とCDの延長線の交点をGと置きます。
図2
アルファベットの小文字は、メモリー名(予定含む)を表します。
*G A E B
*m a e b
* (イ) (ロ)
* D
* d
* F
* f
* C
* c
G点を「松尾の四点交点法」で求めます。
「松尾の四点交点法」の式は、次のとおりでした。
Z=t×A+(1-t)×B…(直線ABの式)
Z=s×C+(1-s)×D…(直線CDの式)
**** Im{Conja(D-B)(C-D)}
t= ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ …(式t)
**** Im{Conja(A-B)(C-D)}
**** Im{Conja(A-B)(B-D)}
s= ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ …(式s)
**** Im{Conja(A-B)(C-D)}
図3(「松尾の四点交点法」前提となる位置関係)
****椎
****┃
英---╋---美
****┃
****泥
A→英、B→美、C→椎、D→泥と当てています。
図4交点と直線の位置関係
****泥d
****┃
英---╋---美b
****┃ 英はa
****椎c
Z=t×a+(1-t)×b…(直線ABの式より)
Z=s×d+(1-s)×c…(直線CDの式より)
**** Im{Conja(c-b)(d-c)}
t= ━━━━━━━━━━━━━━━━━ …(式tより)
**** Im{Conja(a-b)(d-c)}
**** Im{Conja(a-b)(b-c)}
s= ━━━━━━━━━━━━━━━━━ …(式sより)
**** Im{Conja(a-b)(d-c)}
以前は、分母の値117.4404を紙に書くことを奨励していましたが、新型fx-***ES(「***」には993が入る。)が出てからは、メモリーも増えたこともあるので、分母の逆数をxメモリーなどに入れて置くのが良いようです。その場合、分母が電卓に117.44と表示(Fixモード下2桁)された時に、「X^-1」キーを押して、答えが出たらxメモリーに入れ、一旦「式t」を計算の後、「式s」を計算する時に、x×Conja(a-b)(b-c)と計算し、sが出ます。(「×」は省略可)
G=-413.34-204.50i を得ます。これを丸めずにmメモリーに入れます。
ここで、下2桁を丸めないことがミソとなりますので、ご注意ください。
次に、三角形BGCの面積を求めます。
ここで、読者の皆様は、疑問に思われるでしょう。なぜなら巨大な三角形BGCは、良く見ると、辺BGや辺GCの途中に筆界点A・Dなどがあり、正確な三角形とは言えないかもしれないからです。しかし、その心配は要りません。G点の座標値を全く丸めていないので、G点は、辺ABと辺DCを正確に延長した交点となっているから、GABやGDCは、数学的にも完全な直線になっていると考えられるからです。
「松尾の求積法」の「必勝方式」による三角形の面積
=Abs[Im{0.5×Conja(左上-下)×(右上-下)}]…(式♂)
となりますので、
三角形BGCの面積
=Abs[Im{0.5×Conja(m-c)×(b-c)}]
=311.66…これをyメモリーに入れます。
なお、メモリーに入れるときは、電卓画面が65.65+311.66i のようになっている時ではなく、虚部の311.66…のみが表示されている状態の時に、メモリーに入れてください。)
したがって
試しに三角形EGFの面積を計算してみると
=311.66-119.00(=ロの面積)
=192.66となります。
(これは、読者の皆様の理解を助けるための計算であって、試験の時はこのような計算はしません。いきなり(┓)を計算します。)
三角形BGCの面積:三角形EGFの面積の比が判りましたので、相似比(辺の長さの比)はその平方根(の正の値)となります。
(平成21年5月24日まで、↓の式の0.79のところを間違っていました。)
√((y-119)÷y)=0.79…(┓)これを丸めたりせずにxメモリーに入れます。
受験生にとって、√キーを押すことは稀なので、間違ってSHIFTキーを押してから√キーを押すと、平方根(の正の値)を取るつもりが三乗根をとってしまう場合があります。その際、電卓の向きによっては光の当たり方で、三乗根を意味する「3√」の記号の「3」の数字が良く見えないことがあり、検算でも気が付かないことがありますのでご注意ください。
(平成21年5月24日まで、↓の式のAbs(b-m)のところを間違っていました。)
E=m+(Abs(b-m)×x)∠arg(b-m)
F=m+(Abs(c-m)×x)∠arg(c-m)
(「×」は省略可、(Abs(a-m)×x)の外側の括弧は省略可。)
E=-412.82-176.84i
下3桁が四捨五入し易い数値かどうか確認します。確認後、下2桁までで丸めてeメモリーに入れます。
F=-426.84-181.55i
下3桁が四捨五入し易い数値かどうか確認します。確認後、下2桁までで丸めてfメモリーに入れます。
EFとBCが平行であることは、地積測量図を書いた時に確認します。
次に(イ)・(ロ)の面積を計算します。
「松尾の求積法」の「必勝方式」による四角形の面積
=Abs[Im{0.5×Conja(左上-右下)×(右上-左下)}]…(式♀)
でしたので、
(ロ)の面積が条件どおりか気になるので、先に計算します。
(ロ)四角形EBCF
=Abs[Im{0.5×Conja(e-c)×(b-f)}]
=119.00675㎡
(イ)四角形AEFD
=Abs[Im{0.5×Conja(a-f)×(e-d)}]
=94.07875㎡
(イ)+(ロ)=213.0855㎡
四角形ABCD(AEBやDFCを直線と考えた時の面積)
=Abs[Im{0.5×Conja(a-c)×(b-d)}]
=213.0754㎡
EやFの座標値を丸めた関係で、正確には合いませんが、だいたい有っているのでOKとします。
試験の時は時間が有りませんので、このような確認でも良いかと考えます。(時間がない時は、これを全く確認しないのもアリですな。)
正確に検算をする時は、「カステラのななめ切り検算」で、四角形AEBFと三角形BCF・三角形AFDの面積の合計を計算します。
四角形AEBF
=Abs[Im{0.5×Conja(e-f)×(b-a)}]
三角形BCF
=Abs[Im{0.5×Conja(f-c)×(b-c)}]
三角形AFD
=Abs[Im{0.5×Conja(a-d)×(f-d)}]
以上合計で213.0855㎡になりますので、確認できました。
答
* X座標 Y座標
E -412.82 -176.84
F -426.84 -181.55
(座標値の書き方はいろいろあります。)
(イ)の実測面積 94.07㎡
(ロ)の実測面積119.00㎡
(ロとイを入れ替えて書かないように。)
平成21年9月15日追伸
この、問題の解き方の要点は、「面積比から相似比を出して、分割線の位置を決定する。」というところに有ります。平成21年度本試験でも、これの応用ともいえる問題が出ましたので、以後、この手の解法を何度も取り上げる必要があります。そこで、この解法を、「松尾の面積比・相似比分割法」と勝手に呼ばせてもらいます。
図5
* A 6.36 E 7.52 B
*
* 11.15 (イ) (ロ)
* 14.79 18.81
* D
* 8.93
* F
* 7.24
* C
(何と平成21年8月28日までこの図の辺長ADとBCを間違っていました。)
ああこれも、作成の時間が掛る問題でした。
後で、マツヨシも時間を計ってやってみます。
…やってみましたぜ。ABCDのデーターの入力に45秒、EFの座標値、(イ)(ロ)の面積、各辺長を紙に書いて、10分43秒、合計11分28秒です。勿論すべて検算しています。「カステラのななめ切り検算」・EFの方向角の確認もしていますし、三角形の相似比の計算など検算のしにくい部分はすべて二度計算しています。ただし、問題文を読んだり、やり方を思い出したりする時間は入れてません。
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上級者以外、見てはいけない知ってはならない。
なお、この問題を、正攻法で解くなら、台形EBCFにおいて、高さをhと置き、台形の面積=119㎡をhで表します。そして、二次方程式を作って、hを出します。
台形EBCF=0.5(EF+BC)×h=119
=0.5(BC-(h×Cot(∠ABC)+h×Cot(∠DCB))+BC)×h
=119
(Cot(∠ABC)+Cot(∠DCB))h^2-BC×h+119×2=0
いやあ、これを解く気がしませんなあ。
でも、解いちゃった。h=7.083771…で、これからEB=7.521478…と出て、Eが算出出来ます。これを解くコツは、いろいろ式をいじらず、いきなり二次方程式の根の公式にぶち込むことですな。根の公式とは、中学校で習った、(-b±√(b^2-4ac))/2aのことですわ。
その際、別の電卓を使って、そのa・b・cメモリーに、それぞれh^2の係数、hの係数、係数のみの三数値を入れて計算しましょう。
平成21年9月15日追伸
この、問題の解き方の要点は、「強引に二次方程式に持ち込む。」というところに有ります。平成21年度本試験でも、これの応用ともいえる問題が出ましたので、以後、この手の解法を何度も取り上げる必要があります。そこで、この解法を、「強引二次方程式分割法」と勝手に呼ばせてもらいます。
この問題は、辺ABと辺DCが平行でなかったので、交点が出来ましたが、平行だった場合は、どうなるでしょうか。その場合は、(ロ)の部分が、完全な平行四辺形になるため、むしろ易しい問題となるでしょう。
しかし、読者の皆様は、次のような疑問を持たれるかもしれません。「平行ではないが、非常に平行に近い二組の線であって、交点を求めようとすると、有り得ないほど遠くの点になって、電卓がオーバーフローしてしまう場合はどうしたら良いか。」という心配です。その場合は、正攻法で解く場合でも、Cotが非常に巨大になって、結局計算が出来ないか、あるいは、その二組の線は、近似的には平行であるものと仮定して解くほかないでしょう。(平成21年6月5日までこのように書いていましたが、間違いでした。マツヨシの方法では交点が遠方にあり過ぎて計算できないが、正攻法では出来るというような例が存在するようです。)
また、この問題では、BCと平行な線で分筆していましたが、ADと平行な線で分筆して、かつ(イ)の面積が例えば82㎡と指定された場合は、どのように解くのでしょうか。その場合は、この問題に則して説明すると、この問題と全く同じ計算で交点Gを出してmメモリーに入れ、作成したAGDの面積を計算してyメモリーに入れ、
√((y+82)/y)=1.353423…をxメモリーに入れ、
E=m+(Abs(a-m)×x)∠arg(a-m)
F=m+(Abs(d-m)×x)∠arg(d-m)
とします。そのうち、この問題も出すかもね。
…と思ったけど早速出しました。
【例題2】
ADと平行な線で分筆して、北西側を(イ)、南東側を(ロ)とする。(イ)の面積が82㎡と指定された場合、E・Fの座標値と(イ)・(ロ)の実測面積を求めよ。但し、これ以外の条件は、【例題1】と全く同じである。
答え
* X座標 Y座標
E -412.80 -175.67
F -425.48 -183.86
(座標値の書き方はいろいろあります。)
(イ)の実測面積 82.00㎡(82.0083㎡なので)
(ロ)の実測面積131.06㎡(131.0557㎡なので)
(ロとイを入れ替えて書かないように。)
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2009-08-28 22:26
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