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各論10(択一の確率論) [各論]

 この節の趣旨は、択一を勉強しましょうと言うものです。「自分は、択一はクリアー出来ている。問題は書式の方だ。」と言う受験生もいます。しかし、書式をするために、択一を勉強するのです。本試験で、書式を余裕を持って出来るようにするために、択一をスピードアップしなければいけませんが、そのために、択一を猛勉強して、時間の節約をしなければいけません。特に上級者になりますと、最初に読んだ1肢だけでこれが正解の肢ならこれを選択し、後の4肢を読まずに次の問題に進むことが出来ます。これが出来る為には、確信をもって「正誤」を判断できる能力が必要です。

 択一は、受験生を悩ます最初の問題ですが、ベテランになっても、結構足切りになったり、ギリギリやばかったりすることがあります。
 この節では、択一問題で正解に至る確率について考えてみます。

 択一の問題は、大きく分けると次の三形式に分かれます。簡単のため、この節では「正しいものを選びなさい。(正しい文の数を数えなさい。)」という問いに統一します。
 これら三形式は、マツヨシが勝手に命名したもの(マツヨシは呼び名を付けるのが好きなのです)です。マツヨシは勝手に「肢」を「えだ」と読み、「肢文章」を「えだぶんしょう」と読んでいますが、間違いかもしれません。

《1》基本形式
正しい肢を選べ
1.肢文章
2.肢文章
3.肢文章
4.肢文章
5.肢文章

《2》輪環形式
ア.肢文章
イ.肢文章
ウ.肢文章
エ.肢文章
オ.肢文章

正しい肢を選べ
1.アイ
2.イウ
3.ウエ
4.エオ
5.アオ


《3》個数形式
ア.肢文章
イ.肢文章
ウ.肢文章
エ.肢文章
オ.肢文章

正しい肢文章の個数はいくつか
1.1個
2.2個
3.3個
4.4個
5.5個


肢文章の正誤が全く判らない時の正解の確率は(当たり前ですが…)
《1》基本形式…1/5
《2》輪環形式…1/5
《3》個数形式…1/5

肢文章の正誤が、1個だけ判る時の正解の確率は
《1》基本形式…2/5
《2》輪環形式…2/5
《3》個数形式…1/16以上

肢文章の正誤が、2個だけ判る時の正解の確率は
《1》基本形式…3/5
《2》輪環形式…7/10
《3》個数形式…1/8以上

肢文章の正誤が、3個だけ判る時の正解の確率は
《1》基本形式…4/5
《2》輪環形式…9/10
《3》個数形式…1/4以上

肢文章の正誤が、4個だけ判る時の正解の確率は(当たり前ですが…)
《1》基本形式…1/1
《2》輪環形式…1/1
《3》個数形式…1/2
(平成22年2月21日まで、ここの《3》を1/1としていました。お詫びして訂正します。)

となります。
 これらの、計算内容は、最後に書きます。
 これらの三形式のうち、最も多いのは輪環形式であることは言うまでもありません。
 平成21年度本試験は、基本形式は無く、2問が個数形式の問題で、残る18問全てが、輪環形式でした。

 肢文章は、1問に5個有りますので、全部で100個の肢文章を読むことになります。この内、6割の正誤を判断できる受験生は、輪環形式において、何と9割の正解確率を持つのです。このことは、数年前に発見していましたが、「本当かな?」と疑問が湧いてきます。たった6割が判るだけで、9割の得点になるなんておかしいと思いませんか。この節の最後に計算の内容を掲載していますから、確率の判る方は、検証してみてください。もし、間違っていたら教えてください。一応、このことが正しい確率だったとします。
 マツヨシは初心者のころ、いや中級者になってからも、「何で択一で9割も取れる受験生がいるのだろう。」と思っていました。しかし、不可能ではないどころか、丁寧に勉強していれば、当たり前のことかもしれません。
 受験生の中には、「自分は過去問は100%判る。なのに、毎回答練では、7割程度しか取れない。」と嘆く受験生もいるかもしれません。それは、一時期のマツヨシと同じ心境です。
 その点が取れない理由は、たぶん次の通りです。

(1)過去20年分の本試験の択一を正解出来る受験生でも、肢文章を単独で1個出されると途端に確率が落ちる。
 つまり、例えばこういうことです
 正しい肢を選ぶ問題で、
1.太陽は東から昇る。
2.二以上の建物が合体して…(以下難解な文章)
3.敷地権が敷地権でない権利となった場合…(以下難解な文章)
4.規約による共用部分の持ち分が…(以下難解な文章)
5.元本の確定後において根抵当権の…(以下難解な文章)
のような問題では、1の肢が簡単すぎて、他の肢を見る必要も無く、ノーマークとなったそれらの肢が、別の問題に出てくると判らなくなるのです。

(2)「玉虫問題」の存在
 原則は正だが、厳密には誤であるような肢文章。
 例えば、「車両は、赤信号では停止しなければならない。」など。
 原則→正(そのとおり)
 厳密には→誤(緊急車両はその限りではない)
 「そんなアホな。」といいたくなりますが、そんな問題が結構多いのです。
 先の「太陽は東から昇る。」のような絶対真の肢文章であっても、
→「正確には完全な真東ではなく季節によって変わる。」とか、
→「火星の地表では異なる。」とか、
→「太陽が昇るのではなく、地平線が下がっているのである。」とか、
 難癖を付けようと思えば、いくらでも可能なのです。
 ある意味、肢文章の正誤は、「相対的なもの」なのかもしれません。

 「肢文章の6割を判断出来れば9割の得点を期待できる。」と述べましたが、その厳密な意味は、5個の肢文章の中の「玉虫」を除く肢文章の中から平均して3個の「正・誤」の判断が出来るという意味です。これは、かなり上級レベルかもしれません。2個は正誤が判って、別の1個は「玉虫問題」であることが判ったぐらいでは、「6割判る」には達していません。

(3)答練でも、本試験でも、何個かは今まで見たことのない肢文章が出る。
 これによって、確率は確実に落ちます。但し、十分な勉強をした人には、山勘が働いて、判る場合も有ります。



 さて、これらの対策ですが、(3)の対策はあまりありません。研究などをすると、時間がいくらあっても足りません。せいぜい、各学院の答練で出た目新しい肢文章を勉強するくらいです。
 (2)の「玉虫問題」は、「この肢文章は玉虫色(原則正:厳密誤)だ。」と判るようになれば結構です。
 (1)の過去問の肢文章ごとの理解については、1個1個の肢文章を勉強します。その際、その問題の肢文章ごとに、難易度を問題に書き込んでおきます。マツヨシの場合は、当初次の4段階で評価していました。

A(易しい)
B(答えは合ったが難しい)
C(間違った)
D(間違った上に答えを見ても意味が判らない。)

その後、AとBはそれぞれ4段階に分けました。
A1(非常に易しい)
A2(易しい)
A3(どちらかと言えば易しい)
A4(易しいが間違うこともあるかも)

B1(判ったし、普通である)
B2(判ったがやや難しい)
B3(判ったがかなり難しい)
B4(偶然正解だった)

 ただし、CやDに段階を付けると、問題がありました。
もう一度する時、C4などと書いてあると「これは一見、正に見えて意外な誤の方が正解なのだろう。」と勘が働いてしまうのです。

 また、この土地家屋調査士の受験は数年に及ぶことが多いので、評価の記号の前に、例えば平成21年10月に勉強した時は、2110という数字をいちいち入れます。
 こうすると、次回、その問題集をする時にとても楽です。
 また、1回目に、B1以下であった肢文章は、永久にトライしません。「B1で、答練に出たら間違う肢文章も有るのでは。」とお考えの受験生もいらっしゃるでしょう。しかし、間違ったところや、間違いやすい所に集中的に労力を注がなければいけません。肢文章は、易しいものでも読むのに結構労力が要るものですから、最小限の手間で実力を高めなければいけません。(平成21年11月11日以前は「B2以下であった肢文章は、永久にトライしません。」としていましたが、訂正しました。ちょっと削除し過ぎでした。)
 次に、1年後にその問題集をする時、1年前はしばしば間違えた肢文章でも、ここ数カ月は、連続して(数か月の間を置いて)3回ほどAの評価であれば、もうそれは判った問題と思って、終了させて結構です。何しろ答練の問題、通信教育の問題等、受験生は沢山の問題に囲まれているわけですから、どこかで割りきらないとやっていけません。
 なお、年月の情報がないと、本試験前に焦って勉強している時に、いろいろ無駄なことをしてしまいます。例えば、最近したばかりの問題をまたやってしまうこともあります。
 その結果、あれもこれもと効率の悪い勉強をして、疲れ果ててしまうのです。

 とにかく、以上のように、肢文章を単独で勉強します。
 肢文章は単独にすると途端に玉虫色(原則正:厳密誤)になってしまうものも有りますので、それらは「玉虫問題である」ことを覚えておきます。
 なお、D(間違った上に答えを見ても意味が判らない。)の評価の肢文章については、特に、参考書や法令集で調べまくって1日潰したりしないようにしましょう。そのまま「正誤」を覚えるか,、あるいはほっといても、重要な肢文章ならまた出てくるものです。

 また、もうひとつ付け加えると、このように、肢文章を勉強するたびに評価を書き込むことにすると、「この肢文章は、易しかったのか難しかったのか。」と考えることでその問題の印象が深くなる効果があります。(通常、答練で択一に45分ぐらいか掛からない人でも、答えを見て難易度の評価を書いていく場合、2時間掛ったりしますが…。)

 さらに、提案したいことは、次のことです。受験生の心理としては、問題集のどの問題も同じ回数勉強したくなるのもです。中には、分厚い過去問集を、軒並み10回もトライする人も居ます。しかし、易しい問題でも読んで結論を出すのは結構時間がかかるもので、判るなら時間の無駄かもしれません。判らない問題に集中的にエネルギーを注ぐべきです。
 マツヨシは、長年、土地家屋調査士の勉強をするうちに、非常に間違える確率の高い一群の肢文章があることに気が付きました。これらは、「良問」といえるでしょう。いかにも「正」と見えて「誤」とかその逆とか…。これら「良問」に多くのエネルギーを注ぎましょう。
 「B3」や「B4」の評価の肢文章を1回トライする時は、通常の「C」には3倍、良問には6倍トライしましょう。そうは言っても、受験生は、「B」も気になるものです。
 そこで、時には、択一の問題集の「3回以上C評価のもののみ」にトライする期間を作りましょう。



 択一の確率の計算内容です。
****************************************
 以下、興味があって、確率の判る人のみ入場してください。
 間違いがあったら、是非指摘してください。お願いします。

【基本形式で1肢文章が判断出来た場合】
次の2パターンになります。
①判っている肢文章が正の場合
それが答えなので1/1
②判っている肢文章が誤の場合
この場合、残りの4肢文章から選びますから1/4
以上①②を合わせて正解の確率は
1/5×1/1+4/5×1/4=2/5

【基本形式で2肢文章が判断出来た場合】
次の2パターンになります。
①判っている肢文章が2個とも誤の場合
この場合、残りの3肢文章から選びますから1/3
②上の①以外
この場合、1個は正ですからそれが答えで1/1
以上①②を合わせて正解の確率は
4/5×3/4×1/3+(1-4/5×3/4)×1/1=3/5

【基本形式で3肢文章が判断出来た場合】
次の2パターンになります。
①判っていない肢文章が2個とも誤の場合
この場合、判っている3肢文章の中に正がありますから1/1
②上の①以外
この場合、判っていない肢文章2個のうち1個が正ですから1/2
以上①②を合わせて正解の確率は
4/5×3/4×1/1+(1-4/5×3/4)×1/2=4/5




 輪環形式については、必ずしもアイ・イウ・ウエ・エオ・オアの組み合わせばかりではありませんが、計算してみると他のバージョンもほとんど同じ確率です。
 この節では、アとイのみが正で他は誤と仮定して計算します。このようにしても、一般性を失わないと考えます。
 なお、「アが正イが正、さらにエが正であっても、他が誤なら、選択出来る答えは一つに絞られるのでは?」という疑問が残ります。しかし、本試験では、このような「無駄な正の肢文章」は、通常有りませんので、考えなくて結構です。

【輪環形式で1肢文章が判断出来た場合】
次の5パターンになります。
①アが(正と)判った場合、確率は1/2
②イが(正と)判った場合、確率は1/2
③ウが(誤と)判った場合、確率は1/3
④エが(誤と)判った場合、確率は1/3
⑤オが(誤と)判った場合、確率は1/3
以上①~⑤を合わせて正解の確率は
1/5×1/2×2パターン+1/5×1/3×3パターン=2/5


【輪環形式で2肢文章が判断出来た場合】
次の10パターンになります。
①ア・イが(正・正と)判った場合、確率は1/1
②ア・ウが(正・誤と)判った場合、確率は1/2
③ア・エが(正・誤と)判った場合、確率は1/2
④ア・オが(正・誤と)判った場合、確率は1/1
⑤イ・ウが(正・誤と)判った場合、確率は1/1
⑥イ・エが(正・誤と)判った場合、確率は1/2
⑦イ・オが(正・誤と)判った場合、確率は1/2
⑧ウ・エが(誤・誤と)判った場合、確率は1/2
⑨ウ・オが(誤・誤と)判った場合、確率は1/1
⑩エ・オが(誤・誤と)判った場合、確率は1/2
以上①~⑩を合わせて正解の確率は
1/10×1/1×4パターン+1/10×1/2×6パターン=7/10

【輪環形式で3肢文章が判断出来た場合】
次の10パターンになります。
①ア・イが(正・正と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
②ア・ウが(正・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/2
③ア・エが(正・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
④ア・オが(正・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
⑤イ・ウが(正・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
⑥イ・エが(正・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
⑦イ・オが(正・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/2
⑧ウ・エが(誤・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
⑨ウ・オが(誤・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
⑩エ・オが(誤・誤と)判っていないが他は判っている場合、確率は1/1
以上①~⑩を合わせて正解の確率は
1/10×1/1×8パターン+1/10×1/2×2パターン=9/10




 個数形式は近年増えてきました。択一界最大の難問と言って良いでしょう。
 この形式には、欠陥が有ります。アとイが正の時に、受験生によっては「ウとエが正だ。」と間違って判断したのに、個数としては、同じ二個ですから正解となってしまうのです。
 そこで、出題者側は、答えが全部正とか全部誤とかのように、極端な方に偏る傾向があり、また受験生側の対策としては、迷った時は、より極端な方を選択するという手も有ります。ここでは、最も難解な、肢文章全部が正であった場合を想定して、計算してみます。


【個数形式で1肢文章が判断出来た場合】
残り4肢文章が判りませんので、正解の確率は、
1/2×1/2×1/2×1/2=1/16

【個数形式で2肢文章が判断出来た場合】
残り3肢文章が判りませんので、正解の確率は、
1/2×1/2×1/2=1/8

【個数形式で3肢文章が判断出来た場合】
残り2肢文章が判りませんので、正解の確率は、
1/2×1/2=1/4

 以上です。
****************************************



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コメント 2

J-taro

 こんばんわ、マツヨシさん。このブログにお世話になったJ-taroです。
 本日11月9日は調査士口述試験があり疲労困ぱいですが、あとは天に祈るのみです。
 疲れの原因はもう一つあり11月8日(つまり前日ですね)はG政書士の筆記試験がありました。(二日連続で試験があったらそりゃ疲れるわな・・・)自己採点ですがおそらく合格は無理っぽいです。原因は準備期間不足(調査士筆記試験が終わってからの2ヶ月間)もありますが、学習方法が悪かったのだと思います。とゆーのも、試験までの時間がない焦りから過去の択一問題を解くことばかりにウェイトを置いてしまい、肢文章を丁寧に解いて理解することをおろそかにしてしまいました。
 調査士の際は、TH学院のデータベース(ちょっと値は張りますが)とゆー過去問を肢別にバラバラにした問題集を使っていたので、一つ一つの理解が深まり合格に繋がったのだと思います。(でなければ今頃、不合格のダブルパンチで打ちのめされてたな~、きっと)
 玉虫理論もそうした基礎があって初めて活用できる手法だと思います。このブログの素晴らしい点はみんなが「当たり前」だと思っていることを提起してくれる点にもあると思います。意識しなければ覚えたことは頭の横をスルリと抜けてしまいますので・・・

 話は長くなりましたが、よーは「過去問を一肢ずつ丁寧に解く」。後は+αで調査士の択一は対応できると思いますよ(特に経験年数の短い方)。もっとも、偉そうに言ってますけど来年のG政書士試験に向けて自分に言い聞かせてるんですけどね。

それでは長々と失礼しました~
 
by J-taro (2009-11-09 23:14) 

matuyosi

J-taroさんへ、すごいすごすぎますよあなたは。普通、土地家屋調査士の筆記試験に合格したら、ゆっくりしたくなるものですよ。G政書士の筆記試験などとは、信じられません。体を壊さないようにマイペースでやりましょう。でも、そのパワーを見習います。
 ときどきこうして、当ブログに冷やかしに来てください。「そもそもおおおですな…、土地家屋調査士の試験というものわああ…。」などど語れるのもあなたが合格したからですよ。読者の皆様も、ごおおーーーーーかくしてからたっぷり後輩に蘊蓄を垂れましょうね。

by matuyosi (2009-11-10 07:35) 

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