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各論14(落とし穴の問題) [各論]

 この節では、内容に合ったタイトルを付けると、解き方がバレバレになってしまうので、あえて「落とし穴の問題」としました。問題は完成していますが、まだ、答えを書いていません。…と書きましたが、その後答えも書きました。


【例題1】
 図1のようにABCDAで囲まれた土地の地積更正登記を行うこととなった。
 
(条件)
①E点・F点は、測量の便宜的な測量基準点である。E点・F点から各点への距離は、次のとおり。(単位:m)
*           E点から        F点から
A点まで      10.00       測量不能
B点まで      測量不能      11.83
C点まで      17.37       13.16
D点まで       8.47       16.26


②E点からA点への方向角は、北方向を0度としたとき、274゜28′19″である。

③∠AFB=62゜02′19″である。

④D点からC点への方向角は、北方向を0度としたとき、166゜21′00″である。
⑤各点の座標値は、四捨五入して下2桁まで求めること。なお、この表示方法で丸めた座標値による計算において、④の条件の誤差は、0゜0′30″以下とする。
⑥実測面積の計算値の端数処理は、登記の申請書に記載する場合の表示方法によるものとする。本土地は登記簿の地目も現況も宅地である。

 A・B・C・Dの座標値を求めよ。
 四角形ABCDの面積を求めよ。
 (ゴメン平成22年3月20日21:50まで、ここに分割点うんぬんと記載していましたが、これは関係有りません。以前の問題をコピーして改良したので、消し忘れです。)
 北方向を0度としたときのD点からC点への方向角を求めよ。(各点の座標値は、四捨五入して下2桁まで求めた数値を使用して計算すること。角度は、四捨五入して1秒単位までで求めよ。)
 メモリーの使用の仕方は、以下のように指定します。この方が、解答を見るときに見易いでしょう。


表1
*    X座標        Y座標
A          計算点である。     →aメモリーに入れること
B          計算点である。     →bメモリーに入れること
C          計算点である。     →cメモリーに入れること
D          計算点である。     →dメモリーに入れること
E  +880.83    -412.15    →eメモリーに入れること
F  +872.02    -413.44    →fメモリーに入れること



図1
*                      Dd


*   Aa
*             Ee



*            Ff

*Bb
*                          Cc



《解答》
 Fixモードはいつものように下2桁に設定してください。
 指定のように、メモリーに入れます。


A=e+10.00∠274゜28′19″
A=+881.6097…-422.1196…i 
四捨五入し易い数値ですので、下2桁で丸めてaメモリーに入れます。
電卓内部検算を行いましょう。(紙に書かずに、再計算結果とメモリーの引き算をしましょう。)
答え
A=+881.61-422.12i 

B=f+11.83∠(arg(a-f)-62゜02′19″)
B=+869.1206…-424.9092…i 
四捨五入し易い数値ですので、下2桁で丸めてaメモリーに入れます。
電卓内部検算を行いましょう。
答え
B=+869.12-424.91i 

 この計算において、arg(a-f)の部分で、「Aの座標値に丸めた数値を使って良いのか?」という疑問が発生します。この疑問が浮かぶ人は、真面目な測量技術者であって、当然の疑問です。
 この問題では、四捨五入した時、元の数値との差が0.0003とか4とかの非常に小さい数値ですので、特に気にしなくても結構です。(「どのくらいなら気にしなくて良いのか?」と言われても、そこは経験と勘で…としか言いようが有りませんが…。)
 本試験や、良く出来た答練問題では、四捨五入前後において、ほとんど意味のある数値的変化が無いように(つまり非常に四捨五入し易い数値)になっていますので、ある数値からある座標値を求め、下2桁で丸めたとき、丸めた数値を使ってさらに次の数値を求めることに躊躇しない方が良いようです。(ここら辺は自己責任でね…。)
 また、この問題では、A点を求めないと、B点が求められないようになっていますので、丸めたA点の座標値を使った受験生と、丸めない座標値を使った受験生とで、違った答えが出ると、問題が成立しなくなることもその判断の根拠の一つです。


 次に、C点・D点を求めなければいけませんが、なかなか解き方が思いつかないものです。
 これとよく似た問題が、あのリーゼント・ヘッド学院の答練で、いきなり出された時、マツヨシは、なかなか思いつかず、時間を浪費しました。リーゼント・ヘッド学院は、(学院への尊敬を込めて言いますが)意地悪問題が大好きなのです。(なお、包○学院の答練でも出た記憶があります。)
 それでは、解き方ですが、余弦定理を使います。この定理は知ってはいるもののなかなか使う機会が有りません。土☆☆☆☆☆士の問題は、ほとんど定理と言えば正弦定理ばかりですので、いざという時に思い付かないのです。

C点を求める時は、三角形EFCに注目し、この三辺の長さが判っているので、余弦定理から∠EFCを求めます。
D点を求める時は、三角形EFDに注目し、この三辺の長さが判っているので、余弦定理から∠FEDを求めます。
 初級の方は、「二辺は判っているが、三辺の長さなど判っていない。」とおっしゃりたいですね。E・Fは座標値が出てますから、すぐに計算出来るではありませんか。
Abs(e-f)=8.9039…これを紙に書いたりせずにそのまま
(ANS^2+13.16^2-17.37^2)÷2÷ANS÷13.16
=-0.2102…これを紙に書いたりせずに、そのままアークコサインを使います。
COS-1(ANS)=102゜07′53.98″これを紙に書いたりせずにそのまま
C=f+13.16∠(arg(e-f)+ANS)
C=+867.4195…-401.1103…i 
四捨五入し易い数値ですので、下2桁で丸めてcメモリーに入れます。
CEやCFの距離を計算し、これが条件に合うことをもって検算とします



Abs(e-f)=8.9039…再度これを計算し、数値を紙に書いたりせずにそのまま
(ANS^2+8.47^2-16.26^2)÷2÷ANS÷8.47
=-0.7516…これを紙に書いたりせずに、そのままアークコサインを使います。
COS-1(ANS)=138゜43′46.18″=∠DEFこれを紙に書いたりせずにそのまま
D=e+8.47∠(arg(f-e)-ANS)
D=+886.3195…-405.6997…i 
四捨五入し易い数値ですので、下2桁で丸めてdメモリーに入れます。
DEやDFの距離を計算し、これが条件に合うことをもって検算とします。


答え
A=+881.61-422.12i 
B=+869.12-424.91i 
C=+867.42-401.11i 
D=+886.32-405.70i 

 四角形ABCDの面積=
Abs[Im{0.5×Conja(a-c)×(d-b)}]
=316.98095㎡
答え316.98㎡(宅地だから)

D点からC点への方向角
arg(c-d)=166゜20′58″

 この問題において、解らなかった原因をもう一度考えて見ましょう。
 まずA点を求めるのに、方向角を使いました。またA点を元にして、B点を求めました。そこで、C・Dを求めるにあたって、受験生は、「方向角は出てないのか?」、「A点・B点の座標値を根拠にして求められないか?」と考えたくなるのも無理はありません。しかし、それは徒労に終わりました。
 三角形EFCに注目し、「この三辺の長さが判っているので、余弦定理が使える。」というところまで判った受験生も、「F→Cの方向角が示されていないから無理だ。」と判断してしまうことが多いものです。時間の無い中で「E・Fの座標値が判っているので、E→Fの方向角が判るはずだ。これを根拠に解ける。」と判断出来る受験生は、上級者です。今後の答練では、このような問題にも対応できるようにしておきましょう。
 この節のタイトルは、解き方がバレなければ「余弦定理」とすべきところでした。



****************************************
 上級者以外、見てはいけない知ってはならない。
 この問題において、意味有り気に、下のような条件が示してありました。

④D点からC点への方向角は、北方向を0度としたとき、166゜21′00″である。

 結果として、これを使わずに計算出来ました。この条件の主な目的は、問題を複雑にして、「この角度を使って求めるのだな?」と読者の皆様を惑わすためのものです。
 ただ、全く意味のない条件では有りません。
 本問のABCDの土地を直線EFで二つの土地に分筆した場合、見取図では、直線EFの東側にC・Dが描いて有ります。しかし、距離の条件だけで数学的に求めると、直線EFの西側(線対象の位置)にも条件に合うC・Dが存在します。それをC’・D’と呼ぶことにしましょう。
 C・DやC’・D’のどれを答えとすれば良いかという問題ですが、組み合わせとしては、
CとD、C’とD、CとD’、C’とD’の四個の組み合わせが数学的には有り得ます。
 そこで、④の条件の方向角に合うものは、CとDの組み合わせしかないという落ちになっているのです。(「なんじゃこりゃあああ」と怒られそうですが…。)



 C・D及びC’・D’を求める以下の計算は、時間が掛り過ぎるので実際に答練ではやってはいけません。しかし、その解き方しか思い浮かばない場合が有りますので、その対策として、解説します。(読むだけで結構です。)

 まず、Cの座標値を求めます。C=X+Yi とおきます。
(X-880.83)^2+(Y+412.15)^2=17.37^2……(㊤)
(X-872.02)^2+(Y+413.44)^2=13.16^2……(㊦)

㊤-㊦
-2×880.83X+2×412.15Y+880.83^2+412.15^2
+2×872.02X-2×413.44Y-872.02^2-413.44^2
=17.37^2-13.16^2……(㊥)これを紙に書きます。
これを電卓で計算し、紙に書きます。
-2.58Y=+17.62X-14249.0661
のようになります。

今まで使ってきた電卓を犬電卓、もう一台の電卓を猫電卓と名前を付けます。
以下のe・fは、犬電卓のメモリー名とは関係有りません。
Y=eX+f……(㊧)の形に変形するのですが、これは紙には書きません。猫電卓を使って、㊥の式を電卓上で計算し、eの数値をeメモリーに入れ、fの数値をfメモリーに入れます。
 ㊧を㊤に代入します。
(X-880.83)^2
+{(eX+f)+412.15)}^2=17.37^2
(1+e^2)X^2+{-2×880.83+2e×(f+412.15)}X
+880.83^2+(f+412.15)^2-17.37^2=0……(㊨)
X2乗の係数を猫電卓のaメモリーに入れます。
Xの係数を猫電卓のbメモリーに入れます。
係数のみのものを猫電卓のcメモリーに入れます。
二次方程式の根の公式で解きます。
X=(-b-√(b^2-4ac))÷2÷a=867.4195…
㊧を計算してY=-401.1103…
これがCでした。

X=(-b+√(b^2-4ac))÷2÷a=871.1475…
㊧を計算してY=-426.5710…
これがC’です。この座標値も条件①を満たします。

同様にD’は、
X=887.9384…
Y=416.7557…i となり、この座標値も条件①を満たします。

 しかし、明らかに、④の方向角を満たすものはC・Dの組み合わせしか有りません。
 これらの式は、非常に複雑な計算のようですが、電卓をフルに使って、なるべく紙に書かずに出来れば、結構速いものです。㊤と㊦の式を見ながら㊥の式を書かず、㊧の式のe・、fを計算できれば最高です。
 従来は、「このような複雑な計算になるならば、おそらく判断ミスであって、もっと簡単な方法が有るはず。」というのが、主流の考え方でしたが、平成21年度の本試験を見ると、より複雑化していますので、必ずしもそう断言出来なくなってきています。


 なお、どうしてもC’やD’を求めなければならない問題の場合は、上記のような二次方程式の二元連立方程式にすることなく、下のように計算しましょう。
 犬電卓でCやDを計算する時は、下のようにしました。
C=f+13.16∠(arg(e-f)+∠EFC)
D=e+8.47∠(arg(f-e)-∠DEF)
さらに、犬電卓でC’やD’を計算する場合は、
C’=f+13.16∠(arg(e-f)-∠EFC)
D’=e+8.47∠(arg(f-e)+∠DEF)
のようにするのが簡単です。
****************************************





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