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各論05(変身補正01) [各論]

jpg変身補正の基本図01.jpg

 今回は、変身補正の問題を取り上げます。(「変身」ではなく「偏心」が正です。こうしないと勝手にタグが付きまして、読者以外の受験生に余計な気を使わせてしまいますので…。)
 この問題は、平成21年7月ごろまで掲載していた内容と、ほとんど同じ問題ですので、以前からの読者の皆様は、読む必要はありません。

 この補正問題は、測量の受験界では出題頻度が高く、結構難問とされることが多いものです。しかし、土☆☆☆☆☆士の本試験には、出たことが無いとマツヨシは記憶しています。(もし違っていたら、ご指摘をお願いします。)各学院の答練にも、2年に一度ぐらいしか出題されません。但し、出題されたら難しいことが多く、特に「測量経験のないペーパー測量士補」は、ノックアウトされる可能性が高いです。特に、そろそろ最後というような時期の答練などに出題され、それが悪い点だと、本試験に向かうにあたって気分がよろしかろうはずがありません。
 そこで、転ばぬ先の杖とばかり、ここで十分対策を練っておく必要があります。
 次の問題では、図面は、「変身補正の基本図01」を見てください。内容は、求点のみで、求積その他の計算は省略しました。

【例題1】
 D点を観測するにあたって、見通しが悪いなどの条件のため、器械をC点に設置し、観測した。下の表1の既知点の座標値と{観測結果}に基づき、D点の座標値を求めよ。座標値は、四捨五入して下2桁まで求めよ。


表1
*    X座標    Y座標
A -3846.24 -27.45
B -3814.10 -14.63
(以前、BのX座標値を間違って書いていました。トン・キタさんご指摘有難うございます。)
{観測結果}
T’=46゜09′20″
S4=41.90メートル
φ=303゜10′20″
ё=4.00メートル

《解答》
A→a、B→b、の各メモリーにそのまま入れます。3000を省略したりするのは、さほどのメリットがありません。
 まずαを求めることとします。
 三角形ABCにおいて正弦定理を用いて計算します。
ψ=360°-303゜10′20″
=56゜49′40″を見取図に書き入れます。
検算のため、
303゜10′20″+56゜49′40″=360°0′0″を確認します。
Abs(a-b)÷SIN(56゜49′40″)÷4.00(=ё)=
として計算結果10.33が画面に表示されたら、逆数キー「X^-1」=を押します。
0.10…が出たらそのまま、アークSINキー「SIN-1」=として5.55…を得ます。
 これがαです、これを丸めたりせずにそのままxメモリーに入れます。
 このようにαを出す方法を、包○学院によると「正弦比例法」と呼ぶのだそうです。


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 上級者以外、見てはいけない知ってはならない。
 ここで、SIN(360゜-θ)=-SIN(θ)が常に成り立ちますから、わざわざ
360°-303゜10′20″を計算しなくても、
Abs(a-b)÷{-SIN(303゜10′20″)}÷4.00(=ё)=
としても同じ計算が出来るのではないかと主張される読者もおられるでしょう。
 そのとおりです。但し、360°-303゜10′20″を計算しておかないと、次のζの角度を求める段階で、やや難しくなるでしょう。その場合は、303゜10′20″-180°で、三角形の外角を求め、これが=α+ζであることからζを求めることとなります。具体的には、
303゜10′20″-180°-x=117゜37′10.65″
となりますが、これを考えるのはかえって苦しいでしょう。
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 次に、S3を求めることとします。三角形ABCにおいて正弦定理を用いて計算します。
 そのためには、図のζを求めなければなりません。
180°-x-56゜49′40″
=117゜37′10.65″=ζこれを、見取図に描き込みます。

Abs(a-b)÷SIN(56゜49′40″)×SIN(117゜37′10.65″)
=36.63…これがS3です。これを丸めたりせずにそのままfメモリーに入れます。

 なお、カシオの新型fx-***ES(「***」には993が入る。)では、SIN(117゜37′10.65″)の直前の「×」を省略すると、答えが変わってしまいますので、注意してください。旧型fx-***ES(「***」には991が入る。)では、P÷QR→P÷Q×Rとなりましたが。新型ではP÷QR→P÷(Q×R)となります。詳しくは、「電卓の設定と基礎02」の(6)A÷(X×Y)の「×」の省略についてという項目を参照ください。


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 上級者以外、見てはいけない知ってはならない。
 ただし、「松尾の四点交点法06」において、上級者の方には説明したとおり、
SIN(180゜-θ)=SIN(θ)が常に成り立ちますから、
SIN(180゜-(∠ABC+∠ACB))=SIN(∠ABC+∠ACB)
となりますので、117゜37′10.65″の代わりに、
x+56゜49′40″を入力した方が速いです。
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 次にCの座標値を求めます。
b+f∠(arg(a-b)-x)
=-3849.2755…-24.8451…i を得ます。これを丸めたりせずにそのままcメモリーに入れます。検算のためё=4.00メートルであることを、確認します。
Abs(a-c)=4.00これを10000倍して、端数がないことを確認します。
これで、117゜37′10.65″の数値の検算もできたこととなります。

 次に、Cの座標値を使って、Dの座標値を求めます。この時、問題に特別の指示がない限り、丸めていないCの座標値を使うのがベストです。
 その理由ですが、この問題には、Cの座標値を問うことをしてはいませんので、受験生はいろいろな方法でDの座標値を求めることとなります。もし、受験生が勝手に求めた点(たとえばPとか)の座標値を下2桁で丸め、これに基づいてさらにDの点を求めると、解答はそれぞれ四捨五入によって各人別々の数値となりますので、それぞれを正解とする訳にもいかないでしょうから、結局正確な数値で計算を進めていったものだけを正解とすべきでしょう。
 また、Cの座標値を問う内容であっても、「Cの座標値を四捨五入して下2桁まで求め、この四捨五入した座標値を使ってDの座標値を求めなさい。」という内容でなかったら丸めたCの座標値を使うのは適当ではありせん。(ただし、これと異なる主張をされる学院もあります。)
 C→Dの方向角はarg(a-b)-x-180°+46゜09′20″なので、
c+41.90∠(arg(a-b)-x-180°+46゜09′20″)……(◇)
=-3829.8304…+12.2696…i これがDの座標値であり答えです。下3桁以下が丸め易い数値になっているかを確認します。確認後、試験の時であれば、この段階で回答用紙に答えを書きます。また、見取図にDの座標値を下4桁まで書き込んでおいて、検算結果と合うことを確認します。(平成22年4月13日までDのY座標値をマイナスとしていました。プラスが正解です。)


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 当ブログの以前の解説では、答えの確認は、このように紙に書いたものを確認していましたが、新型fx-***ES(「***」には993が入る。)は、メモリーが多いので、最初の段階で出たDの座標値を、丸めたりせずにそのままdメモリーに入れるのも一つの方法です。
 丸めないで入れた場合は、検算のため、もう一度(◇)を計算した時に、電卓の表示からdメモリーを引いて、答が10000倍しても0であることを確認します。(あるいは、正確に∠BCD=T’となることを確認します。)
 このあたりは、読者の皆様の好みでよろしいかと思います。
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答(書き方はいろいろあります。)
*    X座標    Y座標
D -3829.83 +12.27
(平成22年4月13日までDのY座標値をマイナスとしていました。プラスが正解です。)



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 上級者以外、見てはいけない知ってはならない。
 さて、この問題は、2007年に包○学院の第9回答練に出てきた問題を拝借したものです。ただし、数値は全く変えています。
 ところで、包○学院の解説では、どのようになっているでしょうか。


{包○学院の解説}
三角形ABCにおいて正弦定理により
α=SIN-1(ё×SIN(ψ)/S1)
 …「SIN-1」はアークSINの意味。
 …まあこれは解りますな。

次に、図面の中の「包○学院の解答の解説用図面」の部分を見てください。
三角形ABCにおいて
Tan(α’)=AQ/(S4+CQ)
…なんじゃあこりゃ。

よって、
α’=Tan-1[ё×SIN(ψ+T’)/{S4-ё×COS(ψ+T’)}]
(COSは、角度が鈍角のときは負の数になりますので、それを引き算することで加算になります。)
…「Tan-1」はアークTanの意味。
…これを「二辺夾角法」と呼ぶのだそうです。ふええ複雑。
これをそのまま計算すると「Stack ERROR」となりますので、ψ+T’を先に計算して紙に書いておくのが良いでしょう。
以上、計算すると
α’=5゜12′13.18″


余弦定理より
S2=√{S4^2+ё^2-2×S4×ё×COS(ψ+T’)}…(£)
S2=42.9758…
また、
T+α=T’ +α’……(¶)
…この式は、どの測量の参考書にも出てきます。包○学院の解説では解りにくいので、マツヨシ流に解説します。
 見取図のβの角は、三角形ABPの外角であり、かつ、三角形CDPの外角でもあります。「三角形の外角は他の内角二個の和になります。」ので、T+α=β=T’ +α’となり、(¶)が証明されます。

(¶)から、T=T’ -α+α’
よって、
D=a+S2∠(arg(b-a)+T’ -α+α’)
…このような式はありませんが、長々と計算が続いているのを、当ブログ流に書きなおすと、このようになります。
 しかし、読者の皆様、これをやってみる気がしますか。
 何て複雑な計算なのでしょう。当時は、「包○学院の先生も、こんな方法しか思いつかなかったのだろう。」と思っていました。しかし、最近解ったことですが、マツヨシの方法は、測量士の計算としては、ベストではないということです。なぜかと言いますと、マツヨシの計算は、B点を基にC点を算出し、これを基にD点を算出します。ここで、αは非常に小さい角であり、S3は非常に長い辺であるので、αの数値の丸め方によっては、C点の位置誤差が大きくなってしまう可能性があるのです。
 その点、包○学院の方法は、Aを基にいきなりD点を算出するので、良い計算として測量の教科書などには、これが載っているのでしょう。
 しかしながら、ここでマツヨシは反論させていただきますが、どちらの方法でも、αの数値の丸め方によって、全く同様の誤差が出ます。ただ、途中にCの座標値が入っている場合は、訂正が複雑になるというだけの違いのようです。


 ここで凝り性のマツヨシは、早速検証の計算をやってみました。
この問題では、α=5゜33′9.35″ですが、もし1分を間違ってα=5゜34′9.35″と紙に書いてしまったとして、これを使って計算した場合どうなるかを検証してみました。
b+f∠(arg(a-b)-x-0゜01′)
=-3849.2785…-24.8349…i を得ます。これを丸めたりせずにそのままcメモリーに入れます。
D=
c+41.90∠(arg(a-b)-x-0゜01′-180°+46゜09′20″)
=-3829.8226…+12.2741…i 
正確な計算のDと間違ったDとの距離=0.0091m

包○学院の方法では、
D=a+42.9758∠(arg(b-a)+46゜09′20″-x-0゜01′+5゜12′13.18″)
=-3829.8188…+12.2648…i 
正確な計算のDと間違ったDとの距離=0.0125m
 したがって、場合によってはむしろマツヨシの方法の方が正解に近いのです。


 土地家屋調査士の試験は時間が命です。解り易く速いのが一番です。
 なお、α’を求めるための「二辺夾角法」のTanを使った複雑な式も、たぶん、測量の参考書に書いてあったのでしょう。α’を求めるだけなら、余弦定理・正弦定理で十分です。おそらく、「二辺夾角法」は、α’を求めるためだけのために、測量の参考書に書いてあったのではないでしょうか。余弦定理から、S2を計算する(£)の式は、計算尺や算盤の時代には結構きつい計算でした。これを計算しないと、正弦定理でα’を求めることが出来ないので、これを計算しないでもα’を求められる「二辺夾角法」を載せていたのでしょう。しかし、包○学院は、同じ問題に(£)の式をうっかり使ってしまっているので、折角正攻法で挑んだつもりが、結局は解答が統一の取れないものになってしまいました。
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